Be-dan
2020.7.13
今月のBe-danでは、「3331 Arts Chiyoda」(以降、「3331」と表記)のジェネラルマネージャー宍戸遊美(ししど ゆうみ)さんにインタビュー!
第1回では、3331について詳しく教えていただきました。続く第2回では、宍戸さんのそのほかの活動について詳しくお聞きしました!
―第1回目で、民間の合同会社「コマンドA」が3331の経営をしているとお聞きしました。こちらとの関係について教えてください。
コマンドAの前身である「一般社団法人非営利芸術活動団体コマンドN」のメンバーが、「3331 Arts Chiyoda」を立ち上げました。
コマンドNとは、1997年に文化芸術活動に関わるメンバーによって立ち上げられたNPOです。2年後の1999年、秋葉原を舞台にした「秋葉原TV」というプロジェクトを、現3331統括ディレクターの中村政人が仕掛けたことがきっかけで、千代田区を活動ベースにしたプロジェクトを多く展開するようになりました。
―コマンドNでは、どのような活動をされていたのですか?
コマンドNの企画に共通しているのは、現代アートであるということと、作品自体を美術館だけではないさまざまな場所で発表することを積極的に試みることです。独自性があり、国際交流プログラムや社会活動と接続するプロジェクトを立ち上げていることも特徴だと思います。
―なるほど。コマンドNで集まった方々が、合同会社コマンドAを創立したのですね?
そうです。街づくりの関係者やデザイナー、美術批評家など、さまざまなジャンルの方々に参加をしていただき、法人を立ち上げたという形になります。ですが、コマンドNのメンバー全員がコマンドAになったわけではありません。コマンドAという合同会社を立ち上げ、「アートセンターの運営に取り組みたい」というメンバーが集まり、3331を運営しています。
―3331での宍戸さんの主な業務について教えてください。
3331立ち上げ当初から担当しているのが、地域連携の業務です。地域に対する3331の窓口役として、地域の活動や行事に関するさまざまなお話をさせて頂いています。特に多いのは、神田祭や山王祭などの地域行事に関することです。3331として協力することがあると、その情報を会社全体に広げて一緒に動けるスタッフを募ったり、対策を取ったりと社内調整を行っています。
また千代田区外の地域との連携もあります。たとえば、毎年夏に開催している日比野克彦(ひびの かつひこ)さんの「明後日朝顔プロジェクト in 千代田」では、私もコーディーネイターとして参加しています。こちらでは、国内のさまざまな地域とのコミュニケーションも必要ですので、ジェネラルマネージャーの仕事が活かせていると思います。
―幅広く活動されていますね! 今年は「東京ビエンナーレ2020/2021」の事務局長も担当されていますね。こちらはどのような地域芸術祭ですか?
そうなんです。東京ビエンナーレは、社会の課題に対して取り組むプロジェクトが多いことが特徴です。例えば、おもちゃの交換会プログラムの中に、集まったおもちゃを使ってインスタレーションを作る企画があります。この企画は、資源活用や廃棄物問題などを子どもたち自身が考え、工夫する教育プログラムに結びついています。芸術鑑賞だけではなく、実体験を通じて活動に触れていき、さらに自分の持っている知識につながる表現ができるようになっています。
今まで東京では、大規模な芸術祭が開催されていませんでした。東京ビエンナーレを通して、日常とは違う景色へと移り変わる瞬間を、プロジェクトを体験することで味わってほしいと考えています。それを踏まえて、今回のキャッチコピーは「見慣れぬ景色へ」としました。
―これまでの活動の中で、宍戸さんにとって新しい気づきなどはありましたか?
互いに柔軟に対応しながら、考えをすり合わせていく大切さを改めて認識しました。東京ビエンナーレは民間主導の地域芸術祭なので、すべて私たちが主体となって各自治体への協力をお願いする必要があります。なので、各自治体などが今まで積み上げてきた実績をくみ取りながら、自分たちのやりたいことをいかにその中に組み込んでいくかということが大切になります。
自分たちで立てた企画や提案したアイデアが仕事なので、本当にやりがいを感じています!
3331のジェネラルマネージャーの業務以外にも、コマンドNや東京ビエンナーレ2020/2021の事務局長と幅広い活動をされている宍戸さん。次回は、宍戸さんが3331のお仕事に興味を持ったきっかけやアートに対する考え方などをお聞きしていきます。
(第3回につづく)
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Writer | 齋藤 久嗣
脱サラして満3年が経過。現在は主夫業とアート系のブロガー&ライターとして活動中。
首都圏を中心にほぼ毎日どこかの展覧会に出没中。日本美術が特に好みです!(Twitter:@karub_imalive)
Editor | 静居 絵里菜
OBIKAKE編集部所属。
幅広く活躍されている宍戸さん。東京ビエンナーレも楽しみです♪