Be-dan
2019.4.22
第4回 今後はどんな活動をしていく予定ですか?
「6次元」を運営しながら、パラレルキャリアを実践し、芸術祭のキュレーターや書籍の執筆など、ユニークな仕事をこなしてきたナカムラクニオさん。最近では「金継ぎ」という陶磁器の修復技術を伝えるため世界中を飛び回っています。最終回となる第4回では、常に自分で活動の場を作り出しているナカムラさんの「今後」について伺いました。
—2016年に「パラレルキャリア──新しい働き方を考えるヒント100」(晶文社)という著書を出版されていますね。この本では、ライフワークとしていくつもやりたいことを同時並行していく「複業」や「福業」を提唱されていました。
これからはやりたくない仕事を我慢してまでも会社勤め1本でお金を稼ぐという時代ではないと思うんです。それよりも、本当に自分のやりたいこと、できることを核にして、いろいろなライフワーク、ライスワーク、ライクワークを同時並行しながら働くのが主流になってくると思っています。
—ナカムラさんも、ここ数年で働き方を積極的に変えてこられたのでしょうか?
そうですね。最近は、テレビの演出の仕事も、大学や専門学校での講師もすべて辞めました。そのかわり、一番やりたかった金継ぎと美術の本の執筆を中心にしています。これからは、積極的に海外で講座を開催したり、イベントを仕掛けてみたいと思っています。昨年も台湾で金継ぎ作品の展示やトークをしましたが、まだまだこれから、という感じがしています。自分が書いた本もいろいろな言語に翻訳したいと思っています。まだ中国語版と韓国語版しか発売されていないので、今年こそ英語やフランス語版も出したいと思っています。
—最近は、アート関係のお仕事が中心になっているんですね。
そうですね。15歳から30年ずっと美術が好きなのは変わらないですし、それ以外はもう物欲とかも無いです。美術以外は何も必要ないと思っています。37歳の時に会社員を辞めてから、カフェとフリーランスのディレクターを並行していましたが、結局忙しくなりすぎたので、少し反省しています。
—今後はどんな活動に興味を持たれているのでしょうか?
ようやく時間に余裕が出来たので、これからはもっと多くの人に、美術や工芸を楽しんでもらえるような企画を立てていきたいですね。例えば、「知られざる画家」を発掘したり、わかりにくい「美術の用語を解説」するようなイベントを開催したり。たくさん美術の本を書いてみたいと思っています。あとは、金継ぎのような日本の技術を海外に広める活動を続けていきたいと思っています。昨年は、「KINTSUGI PIECES IN HARMONY」
のような海外向けの動画を作りました。これからはyoutubeで美術専門のチャンネルを作ったり、伝統工芸の紹介番組とかも立ち上げたいと思っています。
いかがでしたでしょうか。全4回にわたってお届けした、インタビューシリーズ「Be-dan」。その記念すべき1 人目として、アート業界随一ともいえるユニークなキャリアを歩まれるナカムラクニオさんへのインタビューをお届けしました。今後もナカムラさんの活躍から目が離せませんね!
ナカムラクニオ
1971年東京生まれ。アートディレクター、山形ビエンナーレキュレーター、荻窪「6次元」店主。著書に『人が集まる「つなぎ場」のつくり方――都市型茶室「6次元」の発想とは』『さんぽで感じる村上春樹』『パラレルキャリア』『金継ぎ手帖』『猫思考』『村上春樹語辞典』『はじめての金継ぎBOOK』など。「こじらせ美術館」連載中。
次回のBe-danは…???
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Writer | 齋藤 久嗣
脱サラして満3年が経過。現在は主夫業とアート系のブロガー&ライターとして活動中。
首都圏を中心にほぼ毎日どこかの展覧会に出没中。日本美術が特に好みです!(Twitter:@karub_imalive)
Editor | 松栄 美海
OBIKAKE編集部。学生時代は美大で彫刻を学ぶ。IT企業を経て昨年9月よりWEB担当として入社。
OBIKAKEの立ち上げを担当。編集や撮影について日々勉強中。