Be-dan

美術館は人間を知る「学び舎」(1/4)

2019.4.29

「OBIKAKE」ではアートシーンを応援する、いろんな人に注目し、お話を伺うインタビューリレー「Be-dan」を月替わりで連載していきます。
4月に全4回にわたってお送りしたナカムラクニオさんに続き、第2弾でお話をお伺いしたのは新 麻記子(しん まきこ)さん。作詞家・ライター・コーディネーター・キュレーター・ディレクターなど、アートの魅力を世の中に広く伝えるための多彩な活動をされています。今回は、愛犬とアートに囲まれた素敵なご自宅を訪問して、たっぷりとお話を伺ってきました!

 

第1回:あなたにとって美術館とはどういう場所ですか?

 

 

—それでは、よろしくお願いいたします。早速お伺いしますが、新さんにとって美術館とはズバリどのような場所ですか?

 

 

 

私は、美術館とは人間をより深く知るための「学び舎」だと思っています。展示されている作品の美しさを味わうだけでなく、「なぜその作品を作ったのか」という作家の制作に対する想いや心の内面などを読み取ろうとすることで、人への想像力を養うことができますよね。また、作品が制作された時代背景や作品の世界観・価値観を読み解くことで社会や歴史を理解でき、総合的に人間の本質まで学ぶことができると思うんです。

 

 

 

—新さんにとって、美術館は学校みたいなものなのですね。それでは、美術館に通いだしたのはいつ頃からでしょうか?

 

 

 

20代前半で専門学校を卒業後、作詞家として仕事をはじめたのですが、師事していた作詞家の先生のアドバイスから、もっと幅広く世の中を知る必要性を痛感したことがきっかけで、美術館に通うようになりました。自分の価値観を広げてくれるような展覧会に通っては、作品から新しい発想のヒントやアイデアをもらっていました。

 

また、美術館と並行して、単館系のマイナーな映画もよく観ていました。カンヌ映画祭に出品されるような社会派ドキュメンタリーや自主制作映画などです。個性的な単館系作品は確かにハリウッド映画みたいに万人受けはしないけれど、作品に含まれる独自のアイデアや鋭い視点を学ぶためには最適でした。

 

「もっと気軽に生活の中でアートを楽しんでみては?」とアドバイスをくれた新さん。こちらは今まで足を運ばれた美術展の図録。ご自宅もアートに溢れた素敵な生活空間でした。

 

 

—では、美術館ではじっくりと作品を熟考しながら見るような感じなのですか?

 

 

 

いえ、それほど一つの展示を長時間観るタイプではないですね。長時間いると足が痛くなりますし(笑)わりとサーッと見ていきながら、自分のアンテナに引っかかるような気になった作家がいたら、自宅で図録を見ながら作品について深く考えたり。私にとって、アートとは視覚的な美しさや技術だけを観るものではなくて、「人」を深く知るための有益な手段なんです。だから美術館にずっと長時間いる必要はなくて、その鑑賞体験からどんな学びがあったのか、それをしっかり考えることのほうが大切だと思っています。

 

 

第2回へ続く

 

新 麻記子(しん まきこ)
作詞家/ライター/コーディネーター/キュレーター/ディレクタ
作詞業をベースにフリーライターとして執筆活動をおこなう。
「アートの輪を広げていきたい。アート×社会×人を繋げるお手伝いをしたい」という想いから、

WEB媒体「La vie pianissimo」の副編集長をはじめ、企業への仲介/紹介業ほか、キュレーターやディレクターとして活躍中。

 

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Writer | 齋藤 久嗣

脱サラして満3年が経過。現在は主夫業とアート系のブロガー&ライターとして活動中。

首都圏を中心にほぼ毎日どこかの展覧会に出没中。日本美術が特に好みです!(Twitter:@karub_imalive)

 

Editor | 松栄 美海
OBIKAKE編集部。学生時代は美大で彫刻を学ぶ。IT企業を経て昨年9月よりWEB担当として入社。
OBIKAKEの立ち上げを担当。編集や撮影について日々勉強中。

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