Be-dan

400名の巨大編成!
シェーンベルク「グレの歌」の魅力や見どころとは
(1/4)

2019.7.22

 

 

 

日本とオーストリアが国交150周年となる、2019年。

これを記念して東京では、2つの注目展「クリムト展」「ウィーン・モダン展」が開催され、アートファンの間で大きな話題となりました。

秋にも「ハプスブルク展」など関連展が続きますが、中でもOBIKAKE編集部が関心を持ったのが、

10月5日(土)・6日(日)にミューザ川崎シンフォニーホールで開催される公演・シェーンベルク作曲の「グレの歌」です。

 

 

 

 

オーケストラと声楽を合わせ、約400名の巨大編成で中世のファンタジー世界が描かれる一大スペクタクルは、「芸術の秋」に絶対見逃せない公演!

そこで、今回は「Be-dan」特別編として、同ホールの広報・前田明子さんにお話を伺い、

「グレの歌」の面白さや魅力についてたっぷり教えていただきました!

 

 

第1回:400名の巨大編成! シェーンベルク「グレの歌」の魅力や見どころって?

 

 

―早速お聞きしたいのですが、「グレの歌」とはどんな演目なのでしょうか?

 

 

この曲はアルノルト・シェーンベルクというウィーン出身の作曲家が書いた曲なのですが、一番の特徴は約400名が参加する巨大な演奏陣です。

オーケストラは通常の3倍以上となる約150名が必要で、例えば木管楽器陣を見ても、普通ならフルート2本、オーボエ2本といった編成で足りるのですが、「グレの歌」の場合はフルートだけで9人も必要なんです! 

声楽パートも、ソロの歌手を5人揃え、男声4部合唱が3組、最後は混声8部合唱になります。

 

 

―400名もいると、アーティスト全員がステージに乗り切らないかもしれませんね?

 

 

そうなんです。もう凄いことになっています(笑)。ミューザ川崎シンフォニーホールは、舞台を中心に360度円形に客席が取り巻く形になるので、合唱団は普段客席として使われている部分に配置することで対応しています。

お客さんとオーケストラが非常に近く、ホール全体で一つになる感覚が味わえると思います。

 

 

―「グレの歌」はいわゆる「オペラ」なんですか?

 

 

いえ、実は今回の「グレの歌」はオペラではないんです。オペラでは、劇中に「セリフ」入りのお芝居が入りますが、「グレの歌」では、オーケストラの演奏と歌による独唱の掛け合いでストーリーが進んでいきます。

合唱も入りますが、あくまで通常のオーケストラの演奏会をイメージして頂ければ分かりやすいと思います。ベートーヴェンの「第九」と同じような感じです。

 

 

―チラシや看板で描かれたメインビジュアルがとても幻想的な雰囲気だったので、ストーリーが凄く気になります!

 

 

「グレの歌」は、デンマークの古い伝説から着想されたペーター・ヤコブセンの詩を元に作られた曲なんです。

簡単に言うと、中世の男女の切ない恋物語です。主人公は、ヴァルデマールという王様と、侍従の娘トーヴェです。この二人が、道ならぬ恋に落ちるわけです。彼らは夜の間だけデンマークの深い森の中で逢瀬を重ねますが、これに気づいて嫉妬に狂った王妃が、なんとトーヴェを殺しちゃうんです。

トーヴェの死にショックを受けたヴァルデマールは、神様に「なんてことをしてくれたんだ!」と怒り、神への反逆を歌うのです。彼は自分の家来、ガイコツ、亡霊を引き連れて、トーヴェの面影を追って森の中を走り回ります。おどろおどろしい場面も多々ありますが、亡霊なので明るい太陽の下では活動できません。

日の出と共に消えていき、大いなる自然の力でヴァルデマール、トーヴェも救済されて大団円を迎える、というファンタジー色の強いストーリーになっています。

 

 

―そういえば、ポスターには白い「鳩」も描かれていますが、これは何を意味するのでしょうか?

 

 

この鳩は「山鳩」という大事な役で、トーヴェが死んでしまったことをヴァルデマールに伝える、いわば物語の「語り部」なんですね。

ヴァルデマールとトーヴェがしていることを、上空から鳩がすべて見ているんです。山鳩が歌い上げるシーンも沢山ありますよ。

 

▲手前のマスコットは「かわさきミュートン」

 

―ストーリーも王道で分かりやすく、気軽に楽しめそうで安心しました!

 

 

登場人物も少ないですし、定番のストーリーですよね(笑)。HPにはあらすじも掲載していますし、演奏会では会場内に字幕も用意しますので、リラックスして会場にいらしてくださいね!

 

 

第2回に続く

 

 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

ミューザ川崎シンフォニーホール

開館15周年記念公演

シェーンベルク「グレの歌」

 

※日本語字幕あり

2019年10月5日(土)15:00開演

2019年10月6日(日)15:00開演

(各14:15開場/途中休憩1回/17:15終演予定)

 

主催:川崎市、ミューザ川崎シンフォニーホール(川崎市文化財団グループ)

共催:公益財団法人 東京交響楽団

後援:オーストリア大使館/オーストリア文化フォーラム

 

 

グレの歌公式ホームページ

https://www.kawasaki-sym-hall.jp/gurre/

 

 

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Writer | 齋藤 久嗣

脱サラして満3年が経過。現在は主夫業とアート系のブロガー&ライターとして活動中。

首都圏を中心にほぼ毎日どこかの展覧会に出没中。日本美術が特に好みです!(Twitter:@karub_imalive

 

 

Editor  三輪 穂乃香

OBIKAKE編集部所属。のんびりやってます。

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